犬の変形性関節炎-犬と猫の病気用語集

犬の変形性関節炎

犬の変形性関節炎(OA)とは?

変形性関節炎は、関節の軟骨がすり減り、関節の炎症や痛みが慢性的に続く病気です。
関節は、骨同士をなめらかに動かすクッションのような役割を果たす軟骨で守られていますが、この軟骨が壊れてくることで、痛み・こわばり・動きの制限などが生じます。
加齢だけでなく、肥満や関節の発育異常(例:股関節形成不全)、ケガの後遺症などが原因になります。

 

病気の特徴(こんなサインに注意!)

犬は痛みを隠すことが多く、初期では気づきにくいことがあります。
次のような変化があれば、関節炎が進んでいる可能性があります。

  • 歩き方がぎこちない
  • 階段を嫌がる / ジャンプをしなくなる
  • 動き出しに時間がかかる
  • 一方の足をかばう
  • 散歩の距離が短くなった
  • 寝ている時間が増えた

COASTeRガイドラインとは?

COASTeR(コースター) とは、2023年に発表された犬の変形性関節炎を重症度別に評価し、治療や管理の選択を段階的にガイドする国際的なコンセンサス基準です。
これは、痛みや運動機能、生活の質に着目してステージを評価するもので、ステージごとに最適な治療選択を考える助けになります。

<COASTeRのステージ>

  • Stage 0〜1:臨床症状なし(リスクあり)
  • Stage 2:軽度の症状
  • Stage 3:中等度の症状
  • Stage 4:重度の症状

※実際の診断やステージ評価は獣医師が行います。

 

治療とケアの基本

COASTeRでは、段階的でマルチモーダルな治療(複数の方法を組み合わせた治療)を推奨しています。これは、生活環境の改善から薬物療法、理学療法など様々な治療を組み合わせることで、効果を高める考え方です。

 

基本的なケア(全ステージで大切!)

  • 体重管理:肥満は関節への負担を増やします。
  • 適度な運動:散歩や関節に負担の少ない運動(プールなど)を取り入れる。
  • 生活環境の工夫:滑りにくい床、段差対策、クッション性の良い寝床。

これらはどのステージでも基本となる“土台(base)”のケアとして推奨されています。

 

ステージに応じた治療

変形性関節炎のステージに応じて、治療の内容や強さが変わります。COASTeRガイドラインでは、エビデンス(研究データ)や専門家のコンセンサスに基づいた選択肢が段階的に示されています。

1) 薬物療法

  • NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬):痛み・炎症をコントロールする基本薬です。
    → 多くのステージで第一選択として推奨されています。
  • 抗NGF抗体製剤(神経成長因子を標的とした新しいモノクローナル抗体)
    → 痛みに対する効果が期待できる選択肢として導入されています。

2)関節内または追加的治療

  • 関節内注射(ヒアルロン酸、多血小板血漿など)
  • 理学療法・リハビリ(関節可動域、筋力強化、バランス改善)
  • 栄養補助(オメガ3脂肪酸など)

これらもステージや個々の状態に応じて推奨される場合があります。

 

手術や特別な治療について

変形性関節炎が非常に進行している場合や、関節の構造異常が原因となっている場合には、外科的な介入が必要になることもあります。
たとえば、

  • 関節形成不全に対する整復術
  • 重度の場合の関節置換術(人工関節)

などが検討されることがあります。獣医師との十分な相談が必要です。

 

ご家庭でできること

  • フローリングにマットを敷く
  • 高い段差をなくす
  • クッション性の高い寝床
  • 無理のない散歩
  • 太らせない

これだけでも進行を遅らせることができます。

 

最後に

変形性関節炎は「年だから仕方ない」病気ではありません。
早く気づき、早く対応すれば、シニア期でも元気に歩き続けることが可能です。
「ちょっと様子が変かも?」 それが一番大事なサインです。
気になることがあれば、いつでもご相談ください。その子のステージに合わせた最適なケアをご提案します。

 

 

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