化学療法(抗がん剤治療)
化学療法とは、抗がん剤を使って、がん細胞(腫瘍細胞)の増殖を抑える治療です。人のがん治療と同じ言葉ですが、動物では「生活の質(QOL)」を大切にすることが最優先となります。「つらくて副作用が強い治療」ではなく、「その子らしく過ごせる時間を守る治療」を目指します。
■ どんな病気に使うの?
代表的な腫瘍
- リンパ腫
- 肥満細胞腫
- 白血病
- 乳腺腫瘍(術後補助療法)
- 骨肉腫(術後補助療法)
- その他、転移が疑われる腫瘍 など
※腫瘍の種類や進行度により、化学療法が適応となるかどうかは異なります。
■ 治療の目的は?
動物の化学療法には主に3つの目的があります。
- 寛解を目指す(がんを目立たなくする)
- 延命
- 症状を和らげる(緩和)
「完治」を目指すというより、元気に過ごせる時間をできるだけ長くすることが目標になることが多いです。
■ 副作用はあるの?
あります。ただし人よりも軽く抑えるように設計されています。
*よくある副作用
- 軽い食欲低下
- 嘔吐、下痢
- 元気消失(数日)
- 白血球減少、血小板減少
使用する抗がん剤にもよりますが、多くは一時的で通院治療でコントロール可能です。
*重い副作用(入院が必要なレベル)
重度の副作用は1から5%程度と報告されています(腫瘍や薬剤によります)。
当院では
- 事前の血液検査
- 適切な薬用量調整
- 早めの副作用対策
を徹底し、安全性を最優先に治療しています。
■ 毛は抜けるの?
ほとんどの犬猫は人のようには抜けません。ただし、プードル、シーズー、オールドイングリッシュシープドッグ などの毛が伸び続ける犬種では脱毛が見られることがあります。また、まつ毛などは抜けることがあります。猫では脱毛はまれです。
■ 通院頻度は?
治療内容によりますが
- 1〜3週間に1回
- 数か月〜半年以上続けることもあります。
■ 抗がん剤=かわいそう?
これはご家族が一番悩まれる点です。しかし実際には元気に通院する子がほとんどで、治療中も普段通り散歩や遊びが可能であり、やって良かったと感じられる飼い主様の割合の方が多い(約7〜8割)です。ただしもちろん、すべての子に最適な治療ではありません。年齢・性格・ご家族の考え方や生活環境も含めて、一緒に治療方針を決めていきます。
最後に
「抗がん剤」と聞くと怖いイメージがあるかもしれませんが、
ペットに対して行う化学療法は“苦しませるための治療”ではありません。美味しくごはんを食べて、家族のそばで穏やかに過ごす時間を守るための治療です。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。














