放射線治療(犬と猫)

放射線治療(犬と猫)

「放射線治療」は、がんに対して体の外から放射線を当てて腫瘍を小さくする治療です。
人の医療と同じように、動物でも安全性に配慮しながら行われています。

 

放射線治療を検討するとき

  • 手術で完全に取りきれなかった腫瘍
  • 手術が難しい場所の腫瘍(脳・鼻・口の奥や正常組織を広範囲に巻き込んでいる腫瘍など)
  • 痛みや出血をやわらげたいとき

治療の目的

根治を目指すこともありますが、動物の場合は生活の質(QOL)をあげることを目的として、緩和治療を選択するケースが多いです。

■ 根治を目指す
腫瘍細胞を完全に消滅させ、長期生存を目指します。

■ 症状をやわらげる(緩和治療)

  • 痛みを軽くする
  • 出血や腫れを抑える
  • 呼吸困難を改善する(鼻腔内腫瘍など)
  • 発作の頻度を減らす(脳腫瘍)

 

治療の流れ

  1. 診察・検査で適応を判断
  2. 放射線治療を実施している施設へご紹介
  3. CTなどで照射範囲を決定
  4. 放射線治療を開始(複数回)

※3と4は正確な検査の評価と治療のために短時間の麻酔や鎮静が必要になることがほとんどです。

 

治療回数の目安

  • 根治目的:10〜20回前後(週3〜5回)
  • 緩和目的:1〜6回前後(週1〜2回)

※各施設や腫瘍の種類、動物の体調によって変わります

 

費用の目安

放射線治療の内容により大きく異なりますが、一般的には高額な治療となります。

  • 緩和治療:数万円〜数十万円程度
  • 根治的治療:数十万円〜

※詳細は紹介先施設でのご案内となります

 

副作用について

放射線治療をする部位と線量により副作用は異なりますが、放射線治療をした部位にのみおこります。

■ 代表的な急性障害(治療中〜数週間で起こる可能性のある副作用)

  • 皮膚の赤み・脱毛・色素沈着
  • 口内炎などの粘膜炎
  • 結膜炎など

多くは一時的で照射した部位にしかおこりません。治療後にほとんどが回復します。

 

■ 代表的な晩発障害(数ヶ月以降でおこる副作用)

  • 被毛の白色化、皮膚の線維化・壊死(まれ)
  • 白内障、ドライアイ、角膜障害
  • 骨壊死(まれ)や脳炎(まれ)など

永久的な障害になることがありますが、発生リスクがかなり低くなるように放射線治療計画をたてて実施されます。

 

まとめ

放射線治療のメリット

  • 手術が難しい場所でも治療できる
  • 痛みや出血、呼吸困難などの苦しさをやわらげられる
  • 全身への負担が比較的少ない

放射線治療のデメリット・注意点

  • 通院回数が多くなることがある
  • 麻酔のリスク(持病がある場合など)、副作用のリスク(多くは回復する)
  • 専門施設での治療が必要
  • 費用が高額になることがある

当院での対応について

当院では、放射線治療が必要と判断された場合、専門の二次診療施設をご紹介しています。

  • 症例に応じた適切な施設のご案内
  • 紹介前の検査・状態評価
  • 治療後のフォロー(副作用管理・経過観察)

放射線治療は「こわい治療」と思われがちですが、実際にはつらい症状をやわらげるためのやさしい選択肢でもあります。
「この子とご家族にとって一番いい方法は何か?」を大切に、無理のない治療を一緒に考えたいと思います。

 

 

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