甲状腺機能亢進症(猫)-犬と猫の病気用語集

甲状腺機能亢進症(猫)

甲状腺ホルモンの過剰分泌によって生じる病気です。犬よりも猫で多く認められ、8歳以上の猫の2%は、本疾患に罹患していると考えられています。甲状腺は首の中央やや腹側に存在する内分泌器官です。バセドウ病(ヒトの甲状腺機能亢進症)とは病態が異なっており、猫では甲状腺の腫瘍または過形成がホルモン過剰分泌の原因となります。

症状は、体重減少、多食、食欲不振、元気消失、多動、興奮、消化器症状(嘔吐、下痢)、脱毛、ならびに涼しい場所を好むなど多岐にわたっています。甲状腺が腫大すると、首のあたりにしこりを触知出来る事がありますが、飼い主さんが気づくことはまれです。病院で行う検査によって、頻脈、肝酵素の上昇または高血圧の存在が明らかとなり、本疾患の存在を疑うこともあります。

高齢の猫で多い病気なので、高齢の猫で上記のような症状が認められた場合、甲状腺ホルモンの測定を行います。

治療は大きく分けて2つあります。1つは内科療法、もう一つは外科手術ですが、内科療法によって管理されることがほとんどです。治療せずに放置すると、心血管系や腎臓の疾患で死亡するリスクが高まります。内科療法は内服薬または特別食を用いて、ホルモンの分泌を阻害します。外科手術は、病変を上手く取り除く事が出来れば根治的ですが、術前の内科療法や術後の管理が必要となります。外科手術が適応かどうかは、患者さんごとに検討する必要があります(年齢、内服薬の副作用、内服の手間、甲状腺腫瘤の有無など)。治療を行った場合の予後は良好です。

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