歯根周囲病巣(歯根膿瘍)-犬と猫の病気用語集

歯根周囲病巣(歯根膿瘍)

歯根周囲病巣とは、歯髄(歯の神経)に生じた炎症が歯髄全体に拡がった後、歯髄壊死へと進行することによって、歯根尖部(歯根の先端部分)に病変が生じた状態を言います。原因は、歯の破折(歯が折れる)による露髄(歯髄の露出)からの細菌感染、また歯周炎から歯周ポケットを介し歯根部への細菌感染が進行するなど様々です。症状としては、歯根周囲の腫脹、口腔粘膜や皮膚からの膿みの排出、痛みによる食欲低下ならびに元気消失などがあります。犬では上顎第四前臼歯(奥歯)の歯根膿瘍により、頬から目の下にかけて腫れるのが典型的です。
治療は抗生剤の内服で感染をコントロールする事もありますが、一時的に腫れが治まっても再発する場合があります。このような対症療法による治療が期待出来ない場合、感染した歯髄と歯根周囲組織を取り除く事が必要です。したがって、感染した歯の歯内治療あるいは抜歯を実施します。重度の歯周炎を生じている場合には、歯内治療後に再発する危険性が高く、抜歯が適応される事が多くなります。
予防は、破折の原因となる硬いおもちゃ、硬いおやつを与えない事です。特に、大型犬のおやつとして販売されている、硬い骨や蹄は危険です。また、歯周炎を生じさせないよう日頃からご自宅でデンタルケアを行い、定期的に歯の状態をチェックしてあげることが大切です。→デンタルケアの方法(歯周病)

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